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1歳世代にはダービー馬ドウデュース半弟がラインナップ!評価のほどは?期待の2歳馬は?――インゼルTCに聞く

 阪神1600mの2歳新馬戦(9/10)を1:34.8の好タイムで勝ち上がったビーグラッド、2勝クラス戦(9/23)で1.3倍の断然人気を背負い、出遅れながらも外を回し完勝という内容だったオーサムリザルト。来年に向けて躍進の兆しを見せているのがインゼルサラブレッドクラブだ。  重賞勝利馬こそまだ出ていないが、1世代目となる3歳も20頭中9頭が勝ち上がり、2世代目(2歳)も勝ち上がり間近な馬たちが多く、良血馬もデビューを控えている。3世代目(1歳)のラインナップも発表された今、改めて各馬への期待度や展望を同クラブ・湯日健治さんに聞いた。 【新馬/阪神4R】武豊「前向きさがある」ビーグラッドがデビューV 「クラシックに乗れる馬」を出したい ――まずは3歳世代ですが、オーサムリザルトは良い勝ち方(9月23日・2勝クラス)をしましたね。  出遅れたんですが、勝ち時計も良く、強い競馬でしたね。この馬は2勝目に川田騎手が乗られたときに「絶対に大事に行きましょう」と仰られていて、池江先生も「詰めて使うタイプではないので、焦らずじっくりやりましょう」という方針です。  牝馬ですし、心身ともに幼いところもあります。レースでも危うい所がありますから、ゆっくり調整していって成長してくれれば。あと一つ勝てばオープン馬ですので、牝馬のグレード競走など魅力的な選択肢も増えていくのではないかと思いますね。 ――その一方でネビュルーズやアンテロースなど、1勝クラスで勝ちきれなかった部分もありました。  いまの3歳は、クリダームを皮切りにネビュルーズ、ルクルス、ラヴェリテが新馬を勝って、9頭が勝ち上がってくれました。いまは休んでいる馬もいますが、じっくりやって古馬になってから活躍をしてくれる馬もいますので悲観はしていません。  14日(土)はネビュルーズが1勝クラスに出走します。新馬戦はすごく良い勝ち方をしてくれて、「クラシックに乗れるな」と思ったんですが、頓挫があったりして数を使えなかった。今回はマイル戦になりますが、東京のワンターンですし、改めて適性を探って行ければと思っています。  アンテロースも今は休んでいますが、どこも悪い所はないので年内にはまた使えると思います。とにかく数を使えるのがセールスポイントですし、1勝クラスを2着するところまで来ていますからね。  あとはルクルス。とにかく育成時から騎乗スタッフの評価が高かった馬。ハ行があったり夏負けがあったりと、ここまではうまくいきませんでしたが、ハクサンムーンの下ですし、短距離でこれから良いスピードを見せてくれるんじゃないかと期待しています。 ――ありがとうございます。2歳に目を移すと、アンテロースの半妹であるビーグラッドは楽しみな勝ち方をしましたね。  調教でも動いていましたし、担当の方がメイショウハリオをやっている助手さんなんです。牝馬なので繊細な部分はあるんですが、大事に調整してもらって良いスピードを見せてくれましたよね。  一度チャンピオンヒルズに放牧に出して、萩Sを目標に先週帰厩しました。本来はアルテミスSも考えたのですが、繊細な部分と輸送の影響を考慮して、当日輸送で挑めるレースを選択しました。牡馬も含め相手の揃うレースなので、ここでどういう競馬をしてくれるか。良い競馬をしてくれれば、暮れのG1もという期待もあります。 ――あとはシルヴァリームーン、ロクシアス、ブラーヴイストワルも勝ち上がり間近まで来ています。  シルヴァリームーンは直線を向いたときに「交わせるな」と思ったのですが、武騎手も言っていたように大外枠の影響が大きかったですね。ただジョッキーも「良い走りをしますね」と褒めてくれました。全然悲観する材料はなかったですし、馬体にもまだ余裕がありましたから、折り返しの未勝利戦は確実に勝っておきたいところ。  ロクシアスは初戦、2戦目と勝負どころで窮屈な競馬になってしまいましたよね…。国枝先生はレース後に「2000くらいでも良いかも」と仰っていたので、次は距離を延ばすかもしれません。上は走っていないですが、この母からの産駒では一番走るかもという手ごたえがあります。  ブラーヴイストワルは連続2着。特に2戦目は相手が悪かったですね…。ただ武騎手からも「距離の融通は効きそう」と言われていますし「勝った馬は強かったけどこの馬も楽しみですよ」と。アルアインを手掛けてくださった方が担当してくださってますし、デビュー前から高い評価をいただいていたので、何とか早めに勝ち上がりたいですね。  デビュー前の組だとアムールリーべは担当の方から「えらい背中がいい馬だね」と。カルデアも厩舎スタッフからの評判が高いです。2頭とも友道先生で、年末から年明けにかけてのデビューを期待しています。エピファドールも、厩舎で助手をされている芹沢元騎手が「すごく乗り味がいい」と褒めていただいたんですよね。この馬は楽しみかもしれません。 ――1世代目(3歳世代)から2世代目(2歳世代)と、何か変わった部分はありますか?  やはり1世代目は初めてなので、牧場さんも意識されていましたし、厩舎さんも「早く勝たせてあげたい」と思っていただいた部分は多少あったかもしれません。クリダームも早くから「函館の1200でデビュー」と言われていましたし。実際に重賞2着まで行きましたからね。  とはいえ「馬に合わせて」という基本方針は変わっていません。2世代目では何とかクラシックに乗れる馬を出したいですね。 競馬を止めるな!橋本聖子・競馬推進議連会長に聞いてわかった「コロナ禍の競馬」と「直面する課題」とは!? ダービー馬の半弟・ダストアンドダイヤモンズ22の評価は? ――そしてこの1歳はクラブ3世代目となりますが、やはり目玉はドウデュースの下となるダストアンドダイヤモンズ22(父リアルスティール)でしょうか。  去年のノーザンファームミックスセールで購買しました。牧場の方も仰られてましたが、「ドウデュースとは全くタイプが違いますね」と。この母どうやら父の特徴を出すタイプのようで、リアルスティールと似ていて脚長の体型をしています。  ドウデュースは5月生まれですが、本馬は1月生まれで478キロ。友道先生ですから芝の中距離での活躍を期待したいです。父の成績も上がってきましたからね。ダービー馬の下なのでどうしても値段が高くなってしまうのですが、そういった馬がクラブで募集されることも中々ないですからね。注目してもらいたいです。 ――さらには、ファタルベーレ22、アイリスフィール22、エリザベスムーン22あたりのリーディング上位種牡馬は人気が高そうですね。  特にファタルベーレ22(父キズナ)は、手塚厩舎でキズナの男馬、価格もリーズナブルなので、人気するだろうなと思っていました。牧場スタッフは「ディープボンドに似ている」と言っているんですよね。471キロと馬格もしっかりしていますし、楽しみな馬だと思います。  あとはドゥラメンテ産駒がラストクロップですので、こちらも人気を集めるのは頷けるなと。エリザベスムーン22は上が走っていないですが母系が豪華ですから、いつ走る仔が出てもおかしくないなと思います。アイリスフィール22は少し馬体が小さい(439キロ)んですが、牧場スタッフも「母のこの時期は同じくらいだったので問題ないです」と仰っていました。 ――さらに新種牡馬つながりで言うと、マンディ22(父ナダル)、ジンジャーミスト22(父ゴールドドリーム)もラインナップされています。  父ナダルは、個人的にはまだ適性が分からないなと思いますが、大きい馬が多いので恐らくダートが主流かなと。マンディ22は本当に立派な馬ですし、来年はダート三冠も充実しますし、そういった路線に照準を定めるのも良いかもしれません。  父ゴールドドリームは、馬産地で評価の高かったゴールドアリュールの後継。ジンジャーミスト22もミックスセールでの購入馬で、友道先生に見ていただいて預託が決まりました。母系もしっかりしていますし、芝でも期待できるかなと思いますが、厩舎も去年チャンピオンズCを勝っていますからね。これも楽しみにしています。 ――その他、クラブとして面白そうな馬をあげるとすれば?  エルパンドール22(父ヘニーヒューズ)は、まだそれほど人気がないですが、価格が安い中ではオススメできるかなと。ダートということで考えていただいたほうがいいと思いますが、母系もしっかりしていますし、先ほど触れたとおり上の評価も高いですからね。  あとはソフトライム22(父ハービンジャー)。5月生まれで馬体が小さい(389キロ)なので、まだあまり票が入っていませんが、ペリエールの下ですからね。ただ、母父フジキセキ、母系にスキーパラダイスが入っていることを考えると芝かもしれません。父らしい成長力を見せてもらいたいなと思います。  マーメイドSを勝ったサラス22(父ブリックスアンドモルタル)は初仔ですが立派な馬格で丈夫な感じで出てきてくれました。父の産駒が重賞を勝ちましたし、改めて注目していただけるのではと思います。 ――さらに今年も、父に外国種牡馬の産駒も3頭ラインナップされています。  マジックヒューマー22(父Catholic Boy)は、クラブとしては初めて預託する武英智調教師ですが、牧場にももう何度も見に行っていただいています。米国血統ですしダートかなと思いますが、父父モアザンレディからはジャングロも出ています。母父からは世界で活躍馬が多く出ていますから、個人的には楽しみにしていますよ。  シタディリオ22(父Saxon Warrior)は、父の産駒で2頭目の藤原厩舎預託となります。馬体は立派ですし、この父はもっと走っていいと思うので注目しています。メイディーン22(父Nyquist)もダート寄りかなと思いますが、雄大な馬体をしており、アメリカ血統なので仕上がりも早いと思います。けっして短距離馬ではなく、厩舎の仕上げ方によっては長めの距離での活躍も十分考えられますね。 ――たくさんの馬に触れていただきありがとうございます。最後にこの世代にかける期待度と、今後のクラブ運営に関する展望をお願いいたします。  セールを見ても市場価格はかなり上がっていますが、「今年も良血馬を」という会員様の期待に応えたいと思い、今年度1歳のラインナップとなりました。今日は触れられなかった馬もいますが、預託予定の厩舎も含めて、他のクラブさんと比較しても遜色ない馬を集められたと思います。  さらに競走成績においても、現2歳世代ではクラシックへ出られる馬を何とか輩出したい。また3歳世代も含めて重賞勝ちを狙っていきたいです。1歳世代もバラエティに富んでいると思いますし、きっちり走る馬を見極めていただけたら嬉しいですね。

おはなしコラム

2023/10/13 20:50

競馬を止めるな!橋本聖子・競馬推進議連会長に聞いてわかった「コロナ禍の競馬」と「直面する課題」とは!?

新型コロナウイルス感染症の影響で競馬が無観客開催になったのは 2020年2月末。以来、 無観客でもずっとレースを続けてきた競馬。多くのスポーツが中止になったコロナ禍で、なぜ競馬は開催され続けたのか。昨今、競馬場に観客の声が戻ってきて以前の日常に 戻りつつあるいま、「競馬のおはなし」は、自民党競馬推進議員連盟(以下、競馬議連)の 橋本聖子会長にインタビューし、競馬が開催され続けた理由と、いま競馬界が直面する課題を聞いた。 凱旋門賞ドウデュース・武豊の足元を支えた「鐙(アブミ)」Made in Japanで“世界の頂”へ…町工場の挑戦秘話 公営競技は止められない ――2020年初頭から猛威を振るった新型コロナウイルス感染症ですが、2020年2月1日から「新型インフルエンザ等感染症(いわゆる2類相当)」と位置付けられて以降の約3年間、競馬は中止されることなく開催され続けましたね。 橋本 私は当時、競馬や競輪などの開催をやめたら大変なことになると思っていました。 ――でも、あらゆる行事やスポーツ大会が中止・延期になっていましたから、競馬も中止になるのかなと思っていました。 橋本 そうでしたね。コロナ禍のもとの自粛ムードはものすごい濃度で充満していましたからね。スポーツ大会はもちろんですけど、 スポーツジムまで営業中止になりましたから……。五輪担当大臣だったこともあって、いろいろなことを考えました。様々な競技が中止か延期という状況の中でしたが、 社会に還元する意味合いもある競馬は止められたら困ると思っていました。 ――なぜでしょうか? 橋本 競馬は公営競技です。JRA(日本中央競馬会=管轄は農林水産省)の売り上げの一部は国に納められ(※1)、畜産振興などに使われています。地方競馬(自治体が出資した競馬組合が主催)の売り上げの一部も、各自治体に納められています(2021年度の全国合計額=約33.2億円)。 (※1) 国庫納付金の仕組みは、例えば、100円の勝馬投票券のうち、約75円はお客様への払戻金に充てられ、残りの約25円が控除される。この約25円のうち、10円が国庫に納付され、これが第1国庫納付金と呼ばれる。残りの約15円がJRAの運営に充てられ、これにより各事業年度において利益が生じた場合には、その額の2分の1がさらに国庫に納付され、これが第2国庫納付金と呼ばれる。この国庫納付金は国の一般財源に繰り入れられ、そのうちの4分の3が畜産振興に、4分の1が社会福祉に活用されている。 ――競馬の開催をやめるとJRAなら国、地方競馬なら自治体の収入が減るということですね。 橋本 そうなんです。公営競技で得られたお金は、国や自治体の財布に入るわけですから、さまざまな目的に使うことができます。生活を豊かにするのに使えるのです。コロナ対策にも回すことが出来ますし、でもそういう公営競技の仕組みを知らない人が多いんですね。それをどう理解してもらうのかということだと思いますし、仕組みを知らないと一律的にやめるべきだとなる人もいます。実際にそういう声も聞きました。地方競馬を主催する自治体の職員でも、開催しない方が無難なのではと言う人が多かったという印象が強く残っています。 競馬議連が地道に行った“電話作戦” ――競馬組合の中にいる自治体の職員にも「競馬も一律的に中止にすべきだ」と考えた人が多かったのでしょうか? 橋本 行政にはよくあることですが、どこかが中止を決めると、みんなが横並びで中止にしてしまう。その状況を1番危惧しました。実際に現場ではどうしたら良いのか判断に困ることも、言いづらいこともたくさんありますから、だからこそ議連が手分けして、JRAや地方競馬を主催する自治体などに電話をして意思確認をしていきました。 ――自治体の反応はどうでしたか。 橋本 濃淡はありましたが、皆さんの総意として「無観客でも開催できる」ということだったので、ストップさせないで、開催できる方法を考えていこうという話になりました。 ――競馬議連がそういう活動をしていたのですね。 橋本 実は地道に……(笑)。こうした競馬議連の活動を知っている人はほとんどいないと思います。 ――その一方で、競馬にあまり関心のない人たちからは「競馬はギャンブルだ」ということで、「なぜこんなときに競馬を開催するんだ」という意見もありましたか? 橋本 ネットの中ではあったのかもしれませんが、私たちは聞きませんでしたね。むしろ、「開催を続けてくれてありがとう」という声が100パーセントに近かったかなという印象です。 ――ということは、公営競技の重要性をある程度理解していただけたのですね。 橋本 コロナ禍でも競馬を中止にしなかったことを通じて、公営競技とその他のスポーツが少し違う別な形のものだというのは、理解していただけたんではないかなと思っています。 実家が牧場だからわかる「競馬は基幹産業」 ――競馬を中止してはいけない理由として、国や自治体のお金を還元する公営競技であることのほかに、競馬サークルの裾野の広さや、いったん競走をやめてしまった馬が、その後の調教やコンディションの調整などもあって、再開するのが難しくなるという面もありそうですね。 橋本 もうこれは、馬に限らないことです。人の肉体の強化も馬の強化も一緒ですから、止められないのは、どのスポーツも同じですよね。 ――橋本会長は北海道の早来町(現・安平町)で生まれ、小学校・中学校時代を過ごしていますが、実家は、競走馬を生産する牧場ですよね。競馬サークルにも強い思い入れがあるのだと思っていました。 橋本 小さいころはよく父に連れられて、ばんえい競馬を見に行っていました。私にとって、競馬は生活そのものでした。 ――橋本牧場といえば、マルゼンスキーですね。 橋本 父が屋号の「丸善」から命名しました。当時、持ち込み馬が出走できないというJRAの決まりがあったので仕方ないことですが、1977年のダービーに出られなかったのは残念でした。 ーー今もたくさんの競走馬を送り出されていますね。 橋本 馬産地にとっては、競馬は文化であり産業です。北海道では競馬は基幹産業なんです。競馬がなくなったら、馬産地周辺に産業がなくなってしまう。 ――そういう視点で競馬を見られているんですね。 橋本 馬産地のことを知らない方々には、なかなかわからない感覚かもしれません。でも、「競馬はギャンブルだ」と主張する一定数の人たちいることは確かですが、公営競技から得られるお金は社会貢献に役立っている側面もあります。 ――私たち「競馬のおはなし」は競馬や馬に関するウェブニュースメディアですが、ギャンブルを扱ったウェブメディアというだけで「なんか生きづらいな」と思う瞬間が結構あります。いわゆる予想はほぼ扱わないのですが、怪しい予想を売っているんじゃないかとか、ニュースという側面を評価していただけないことが多々ありますね。 橋本 先ほども言いましたけれど、私の中では、競馬は小さいころから当たり前に存在する生活の一部でした。ギャンブルという発想はありません。競馬が生み出したお金がどれだけの人を救ったのか、どれだけ社会に還元されているのか。競馬の役割は非常に重要なものだ、ということを多くの方にわかっていただけたらというのが、競馬議連の活動のひとつですね。 競馬サークルの声に耳を傾けて… ――競馬議連は2003年にできました。どういう経緯があったのでしょうか? 橋本 物事が良い時には陳情ごとがありません。きっかけは、2002年に益田競馬場(島根)が廃場になったことです。当時、地方競馬場が続々と廃場したり、廃場に向けた検討を始めたりしていました。実はこの判断は、「進むも地獄、引くも地獄」なんです。続ければ赤字。廃場するのにしても、競馬場で商売をしている飲食業の人たちにどう理解してもらうかという問題も出てくるなど、問題が広く派生するんです。 ――存続派と廃場派で対立しそうですね。 橋本 そうなんです。直接競馬に関わっている方々はもちろん存続に向けて頑張ります。その一方で、自治体の人たちは赤字を解消していかなければならないという責任感もありますから、「どうやったら廃場できるんですか」と聞いてくるわけです。それぞれの立場で見る視点も違いますから、意見が対立してしまうのはしょうがないところはあると思います。...

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2023/10/1 18:00

【オーストラリア競馬】マイネルレガシーが通算5勝目…川上氏「アデレードカップ狙っていきたい

 現地9月9日、オーストラリア・モーフェットビル競馬場で行われた第4レース(芝2400m)で、日本からオーストラリアへ移籍したマイネルレガシーが勝利を飾った。この勝利でオーストラリア通算5勝目。同馬はオーストラリアの共有馬主クラブ「ライジングサン・シンジケート」の所有馬で、同クラブ代表、川上鉱介氏のコメントは以下の通り。 豪移籍、ニシノクレセントが初勝利…川上氏「オープン入り目指す」 「メトロで勝ってなんぼ」 ーー今回は横綱相撲で完勝でしたが、状態が上がっている手応えはありましたか?またメトロ2勝目となりますがご感想お願いします。 川上 年初から体調を崩してしまっており、一度放牧後も状態を上げるまでかなりの時間を要してしまいました。前走は極端な有利不利のある馬場だったので必要以上に負けてしまいましたが、着実に状態が上がって来ていたのである程度やってくれるとは思っていました。騎手が完璧に乗ってくれたのも大きかったです。どこで勝っても嬉しいですが、やはりオーストラリアではメトロで勝ってなんぼなのでまた一つ勝てたのは大きいですね。 ーー年明けにはアデレードで重賞をという計画もありましたが、今後の展望をお願いします、 川上 残念ながら体調不良で頓挫してしまいましたが、来年のアデレードカップもぜひ狙って行きたいところです。この春は大きな目標は作らず、自己条件でしっかりと良い競馬をさせて自信を取り戻させてあげたいです。 *メトロ(メトロポリタン開催)とは オーストラリア競馬は競馬のレベルに合わせて以下の3つに開催が分かれており、賞金も高く、大レースが行われる都市部主要場での開催をメトロポリタン開催と呼ぶ。 ・メトロ ・プロヴィンシャル ・カントリー

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2023/9/10 12:00

豪移籍、ニシノクレセントが初勝利…川上氏「オープン入り目指す」

 現地11日、オーストラリア・バララット競馬場で行われた未勝利戦(AW2100m)で、日本からオーストラリアへ移籍したニシノクレセントが嬉しい初勝利を飾った。6月に出走した移籍初戦では2着と上々のスタート。叩き2戦目となったこのレースできっちり勝ち上がった。同馬はオーストラリアの共有馬主クラブ「ライジングサン・シンジケート」の所有馬。日本人にも馴染みのある共有クラブで新しいキャリアをスタートさせた。同クラブ代表、川上鉱介氏のコメントは以下の通り。 ライジングサン・シンジケート所有馬 ーー初勝利のレースぶりはいかがでしたか? 川上 ここでは負けていられないので、レースをしっかりと勝ち切ってくれたのは良かったですが、まだまだソラを使って本気で走らない様子が見られます。今後上を目指す上で改めて課題を再確認したレースでもありました。 ーーかなりの人気でしたが、ジョッキーや調教師はどのような評価でしたか。 川上 正直に言うと、かなり手薄なメンバーではあったので、この日は他馬に邪魔されないようにという事だけを話し合っていました。課題の再確認をしつつも、勝ち癖をつけるためにも良いレース選択ではあったと思います。 ーーいったん放牧に出るそうですが、今後の目標は? 川上 当初はもう一戦だけ使ってから休ませる予定でしたが、レース後の上がりでまだ馬体も成長途上である事が分かりました。ここでは無理させず、来年大きいところを取るために更なる環境適応のために休ませることにしました。具体的な目標レースは決めていませんが、着実に勝ち上がってオープン入りを目指します。ニシノクレセントをオーストラリアへ快く送り出していただいた西山茂行オーナーや、関係者の皆さまに感謝いたします。

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2023/7/16 06:50

“誰でも夢を見る資格がある”オーストラリア共有馬主の世界とは?日本の未勝利馬で重賞挑戦も…Rising Sun Syndicate川上鉱介氏に聞く

オーストラリア競馬といえば?そう聞かれたときに、何と答えるだろうか。 最近の日本ではダミアン・レーン騎手の活躍が目立つが、リスグラシューのコックスプレートやメールドグラースのコーフィールドS、古くはデルタブルースのメルボルンCや、クレイグ・ウィリアムズ騎手を思い浮かべる人も多いかもしれない。 そんなオーストラリアでは、日本よりも「馬主になること」がもっと身近。かつてはタクシードライバーが11万円で購買した馬がG1を7勝した例もある。日本に住んでいてもそうしたチャンスがあり、1頭所有するよりも手軽な“共有”を楽しむ人も増えているようだ。 いったいどのような世界なのか。オーストラリア競馬の元障害騎手、現・Rising Sun Syndicate(ライジングサン・シンジケート)の代表取締役で『南半球で馬主になる~オーストラリアに夢をのせて~』の著書がある川上鉱介氏に教えてもらった。 オーストラリアは「馬主になることのハードルが特に低い国」 ――日本でも、一口馬主クラブなどで“馬主の世界”に触れる人が増えてきました。オーストラリアではさらに気軽に“馬主そのもの”になれるそうですね。 そうなんです。もう本当に馬を買った時点で、日本や香港と違って所得の制限などもなく本物の“馬主”として登録が可能です。オーストラリアは特別“共有”が世界と比べても盛んですし、馬主になることのハードルが特に低い国だと思います。 日本からオーストラリア、物理的な距離というのはありますが、競馬場に来ていただければ馬主専用エリアにも行けますし、無料ドリンクや簡単な食事が出る競馬場も。パドックでジョッキーや調教師との作戦会議も可能で、厩舎に行って直接愛馬に会うこともできます。 遠征の可否や去勢可否など、重要な局面では意見をすることもできますし、もちろん勝ったら口取りもできます。さらに勝利馬主だけが招待されるウイニングオーナールームではシャンパンが飲み放題なので、レースリプレイを観ながら乾杯したりと、まさに一人前の馬主として扱われます。 ――本当に日本よりも簡単に馬主になれるんですね。川上さんが代表を務めるRising Sun Syndicateでは、日本から導入した未勝利馬が重賞に挑戦しようとしているとか。 マイネルレガシー(父・ルーラーシップ)ですね。日本では13戦して2着が2回、3着が2回と、勝利まであと少しのところまで行っていました。関係者と交渉し2021年の秋に輸入、オーストラリアに移籍。馬っ気が出てしまったため、最初は力を出せませんでしたが、去勢後は安定した成績。2022年6月に初勝利を挙げると、徐々に距離を延ばしながら結果が出始めました。 オーストラリアでは、ヴィクトリア州に4つある“メトロポリタン(通称:メトロ)”と呼ばれる主要競馬場で走れることが活躍の第一歩目なのですが、マイネルレガシーは2022年末に4勝目をメトロ開催で、日本の皆様にもおなじみのムーニーヴァレー競馬場であげることができました。既に賞金も約16万ドル(募集額は13万ドル)を稼いでいます。 レーティングも上がってきたので、2023年3月にはアデレードカップ(G2)に挑戦予定だったのですが、呼吸器の感染症にかかってしまい大事をとって回避することに。残念ですが、まだまだ成長途上と感じています。この休養を挟んでもう一段階強くなってくれるのではと思っていますし、本当に楽しみな馬です。 ――日本で未勝利だった馬が重賞に挑戦できるというのは、夢がありますよね。仕入れる際のポイントなどはあるのでしょうか? オーストラリアまでの輸送費がかかってしまいますので、馬代金が比較的抑えられる未勝利馬には注目しています。その中でも、日本ではどうしても“3歳9月までに1勝しなければならない”という期限がありますので、その期限が切れてしまって、中央競馬から地方競馬に出るのがもったいない馬ですよね。 我々も、たくさんの日本馬の遠征や移籍馬に現場で直接関わってきました。日本からの輸入馬の場合、馬代金+輸送費用で募集総額は1,000万円を超えてしまいますから、そうなるとメトロ開催、リステッドや重賞に出走していかないと意味がない。 馬の特徴、性格。なぜ日本で勝てなかったのか。馬体が幼いのか、ケガがあったのか、脚元や体質にどういう問題があるのか。日本の競馬関係者に直接話を聞けるのが我々の強みなので、そうした情報を集めたうえで、オーストラリアに合いそうかどうかを判断しています。 11万円で取引された馬が、日本のG1を勝った例も ――日本からは2頭目の募集となるニシノクレセントも導入され、既に満口になっています。この馬のことも教えてください。 未勝利戦では青葉賞を勝ったプラダリアの2着となっていたり、実力はあったのですが運悪く勝ち上がれず。地方競馬で使うつもりだったようなのですが、西山オーナーから特別に譲っていただけました。 マイネルレガシーもニシノクレセントも、あと少し歯車が嚙み合っていたら日本でもすぐに勝ち上がって上のクラスでやれていたと思わせる馬。既にオーストラリアに来ていて、ただ季節が北半球とは逆で調教方法も違うので、今は慎重に進めています。 じっくり乗り込んで、さらにもう一度環境に慣らすために放牧に出す予定。デビューは早くても6-7月ですかね。それくらいきちんと豪州仕様に作り直そうと思っています。とても楽しみにしていますよ。 ――レガシーも一口馬主クラブの馬でしたし、クレセントは西山オーナーがTwitterで発信してくださったりスポーツ紙で記事になったりと、日本での注目度も高まっているように感じます。 実はニシノクレセントの場合は約1割程度なのですが、新馬に関してはRising Sun Syndicate持ち分のほとんどが日本人オーナー。オーストラリア競馬の魅力を日本にもより伝えていきたいので、これは本当にありがたいことですね。もちろんイギリス発祥のいわゆる“上流階級の社交場”的な雰囲気も無いことはないんですが、誰でも気軽に“馬主として”競馬を楽しむことも根付いている。 例えば、当時は少し話題になりましたが、2006年に日本でもスプリンターズSを勝っているテイクオーバーターゲット。馬主兼調教師はタクシードライバーをしながら趣味で1-2頭調教していて、この馬も当時約11万円で購買して、世界のG1を7勝ですからね。 この馬だけでなく、小規模でやっているオーナーや調教師が“たまたま安く買った馬がG1を勝った”みたいな話は1年に何度も聞く話なので。こちらではそれだけチャンスも多い。日本では大手一口馬主クラブや大規模な個人馬主が主役ですが、オーストラリアでは約8割のG1馬がセリ出身です。 G1レース25勝というとんでもない記録を打ち立てたウィンクスも、無敗の連勝記録でG1を15勝したブラックキャビアもセリで取引された馬ですからね。誰にでも夢を見る資格がある、チャンピオンホースを手に入れる資格があるのがオーストラリア競馬。これが一番の魅力だと思っています。 サラリーマンでも馬主に手が届く!地方共有馬主の魅力とは!?どんな馬も“咲けるところで咲かせる”――地方共有馬主クラブ・川上和彦氏 “大きな夢を見てもいい馬”や、守永真彩さんとの共有馬も ――セリと言えば、先日はかなりの良血馬を落札できたと伺いました。 イングリスの1歳セールですね。年々オーストラリア競馬も賞金が上がっているので、馬の値段も上がっていたのですが、少し景気の停滞があって今年はセリの価格が落ち着いていて、戦いやすいセリになっていました。 コラリーナ21の父ソーユーシンクは、オーストラリアの種牡馬リーディング2位で、この値段(8万豪ドル)で落札できたことにびっくりしました。獣医チェックで脚元や喉も問題なく、馬体も歩きも素晴らしい馬。多くの問い合わせをいただきすぐに満口になってしまいましたが、大きな夢を見ても良い馬だと思っています。 タック21も馬っぷり、歩きともに良い馬。父ブルーポイントは新種牡馬ですが、シャマーダルの血統はオーストラリアで良く走っていて、母父リダウツチョイスは圧倒的BMSナンバーワン。G1を5勝しているサンタアナレーンと血統構成も類似しています。3代母アリンギも豪州の名牝で、母系の底力は大きい。2頭とも本当に良い馬を買えたと思っています。 ――その後のセリでも、続々と募集馬を落札されています。 エリシェバ21の父ブレイズンボウも、豪州の短距離G1を2勝。体高が低いのですが、455kgの体重と日本ではありえないくらいの筋肉量を誇る牝馬で、オーストラリアの王道である2歳短距離路線で期待しています。グリーンチャンネルでおなじみの守永真彩さんも、初めて一口共有いただけるようです。 アデレードのセールで落札したのが、パーフェクトダイアモンド21と、ベイサ21。どちらも牝馬ですが、前者はとにかく父に似た美しいシルエットと、柔らかい歩様が魅力。遅生まれ、トモ高でこれからの成長力がかなりありそうなので、ゆっくりと成長を待てば素晴らしい馬になるのでは。 後者も父エンベリッシュは地味な血統ですが、初年度産駒7頭のうち既にブラックタイプ2頭。オーストラリアのオークス、ダービー路線を総なめにしているNZ産馬で、この馬もオークスを目指していきたい。Rising Sun Syndicateの3人が満場一致で気に入った珍しい1頭で、落札額の倍の予算を用意していたくらい期待している馬です。 リスグラシュー、メールドグラースのオーストラリア遠征もサポート ――川上さんについても教えてください。元々騎手でいらっしゃったんですよね。 18歳で日本の高校を卒業して、2001年に渡豪。2004年に障害騎手免許を取得して、あまり活躍できなかったのですが大きなレースに騎乗する経験もいただけました。やはりケガの多い仕事で、自分のなかである程度ケジメをつけて、30歳になったら次の段階へ向けて準備しようと思っていたんです。 それで、メルボルンのフレミントン競馬場にベースを移して、レースと調教には乗りながら大学に通い直して、通訳と翻訳の国家資格を取得しました。元々、日本とオーストラリアの競馬をもっと繋げたいという夢がずっとあって、日本馬や騎手・厩務員の遠征・滞在のサポートを始めました。 特に日本の競馬ファンの皆様になじみがあるのはメールドグラース(コーフィールドC)、リスグラシュー(コックスプレート)ですかね。書類関係から身の回りのサポート、通訳など、現地で気持ちよく思い通りに馬の準備ができるように支援させていただきました。ほかでは、坂井瑠星騎手や、富田暁騎手らの武者修行の支援なんかも行いましたね。...

おはなしコラム

2023/4/10 11:40

ルメール「日本馬が凱旋門賞を勝つために必要なことは…」プロデュースブランド「CL by C.ルメール」ポップアップストアイベント

 5日、JRAのC.ルメール騎手が、自身がプロデュースするアパレルブランド「CL by C.ルメール」ポップアップストア開催(4月6日〜9日)に先駆けて、代官山にある同店を訪れ、一部商品のデザインにも携わったグラフィックデザイナーの尾花龍一氏とともにインタビューに答えた。   ●ルメール騎手と尾花龍一さんがファッションブランドでファンの皆さんや競馬を知らない人に伝えたいことは? ルメール「競馬をスポーツとして捉えて欲しい。競馬を見に来て熱を味わっていただきたいし、その熱を外にも持ち出したいというのが日頃の思いです。洋服にその思いを込めて、競馬場の外でも競馬の熱を感じて楽しんでいただいて、スポーツとして競馬を知っていただきたいと思っています。元々の競馬ファンの方にとっては、これを着ていただいてジョッキーになったような気分になって楽しんでいただきたいですね」 尾花「私も競馬をスポーツだと思っていまして、それを伝えられるようにクリエイティブを通じて感じ取っていただきたいという思いがあります。ストリートジョッキーというテーマを含めて、もっと競馬というものが野球やサッカーのように見てもらえる人が増えれば、よりもっと競馬に対する価値観が変わっていくのかなと思います」 ●競馬の熱の伝え方をファッションで選んだと思うのですが、その理由は? ルメール「ファッションが大好きですね。サッカーやバスケットなどと比べて何故競馬だけこういうものがないのか、何故かなと思っていました。機会があれば作ってみたいとは思っていました」 ●夢が叶ったということでしょうか?? ルメール「まだまだ夢は叶っていないですね。この洋服を着てくれている人がいて、それを見て競馬を見たいねと思ってくれることがあれば、夢が叶ったと言えるかもしれません」 ルメール「自信はあります」 ●ケンタッキーダービーに挑戦されますが手応えは? ルメール「アメリカは特別な競馬のスタイルです。馬場はとても速いし、競馬場はタイトですね。日本馬はどこでもいい結果を出しますけど、ケンタッキーダービーを勝つのはとても難しいことです。ですが、デルマソトガケはドバイで素晴らしい競馬をしましたので、能力も高いですし、自信は結構あります」 ●最後に競馬のことをもう一つ。日本馬が凱旋門賞を勝つために必要なことは? ルメール「えー、難しい(笑)。まずは血統が大事。母はヨーロッパの馬ならもう少しチャンスがあると思いますし、馬場のコンディションも大事。その日に速い馬場ならチャンスがあると思います。去年はとても酷かった。当日の朝は既に柔らかい馬場でしたけど、スタート20分前に大雨が降った。スタートに行く時にはもうノーチャンスでしたね。日本馬がああいう馬場で使ったことがありません。日本の緩い馬場はそんなに重くないし、ロンシャンの馬場は深いですから走りにくいです。日本の馬は慣れていません。勝つために必要なことは血統、馬場に慣れること、天気、あとスーパーホースが必要(笑)」 【写真】「CL by C.ルメール」ポップアップストアイベント 【CL by C.ルメール ポップアップストア】 期間:4月6日(木)~4月9日(日) 時間:6日(木)~8日(土)11時~20時    9日(日)11時~19時 場所:代官山ヒルサイドテラス・エキシビションルーム(東京都渋谷区猿楽町18-8) 東京初披露の12点を含む25点を限定数販売し、ルメール騎手の私物やシルクレーシング所有アーモンドアイ秘蔵アイテムを展示したアーモンドアイセクション、レーストラックを模したオリジナルハンドメイドの家具、レース画像が観れる壁紙などを楽しめる。

おはなしコラム

2023/4/5 20:00

サラリーマンでも馬主に手が届く!地方共有馬主の魅力とは!?どんな馬も“咲けるところで咲かせる”――地方共有馬主クラブ・川上和彦氏

 地方競馬が好調だ。NARの地方競馬開催成績によると、2022年1月~12月の総売得金は1兆651億円と前年比110.4%。暦年での売得金額レコード(これまでの記録は1991年:9824億円)となり、初の1兆円突破となっている。  そうした中で、地方競馬の馬主資格を取得する人も増えているようだ。中央の馬主資格よりもハードルが低く、原則として直近年の所得金額が500万円以上あれば基準を満たすとされる。売得金増に比例して地方競馬の賞金も上がってきており、馬券や一口馬主とは違った楽しみ方を期待する人も多いのだろう。  ただ、地方の馬主資格を取った人でも、最初から1頭を丸々自身で持つのはコスト面でハードルが高い。そんな中で比較的手軽に楽しめるのが「共有」という方法だ。1頭分の値段の1/20から所有できる。1か月の維持費(預託料)も20口で割れば、1口1~2万円程度となる。  購入すると、どのような馬主ライフを送ることができるのか? 地方共有の”老舗”と言えるビッグダディオーナーズクラブの川上和彦氏に、その”楽しみ方”を伺った。 きっかけは「父ちゃん、ダービースタリオンは面白いよ!」 ――まず、川上さんと競馬との出会いを教えてください。  30代以上の方には多いかもしれませんが、私も『ダビスタ』がきっかけでした。当時小学生の息子に「父ちゃん、ダービースタリオンは面白いよ」と勧められ、それまでは競馬そのものを全く知らなかったのですが、元々好奇心も旺盛でしたしすぐにハマってしまいました(笑)  現実の競馬も、タヤスツヨシがダービーを勝った年(1995年)から。馬券はあまり買わず、ダビスタの世界を現実でも体験したいという気持ちが強かったですね。当時たくさんあった競馬雑誌――サラブレやらGallopやらを読み漁って、一口馬主クラブにも入会しました。 ――当時『ダビスタ』は本当によくできていましたよね。そこから、馬主への道を歩まれるわけですが…。  馬主といっても中央競馬しか知りませんでしたから、いきなりはハードルが高いものでしたが、そうこうしているうちに当時所属していた会社の新規事業企画で一口馬主に関するサイトの企画が通り、仕事でも競馬に大いに関わることになった。これは本格的に競馬の世界から抜けられないぞと(笑)  中でも一番大きかったのは、“テイエム”竹園 正繼オーナーとの出会いです。「馬の見分け方を本にしたい」と思い直談判したところ快諾いただきまして、「どうせやるならDVDも付けたほうが良いよね」と。それで、『馬見の極意』というDVD本を制作し始めたのです。実際にテイエムプリキュア(※)は、セリで購買する様子がDVDにも収録されていますし、私も間近で見ていました。 (※)2003年のオータムセールにて262万円で竹園オーナーが落札。2005年の阪神JF(G1)を勝ち、2009年の日経新春杯(G2)を逃げ切るなど生涯賞金2億円超を獲得。 竹園オーナーと選んだ「ルキア」が最初の共有馬に ――まさに『馬見の極意』ですね…。そうした相馬眼を身近でご覧になれたご経験というのは、非常に貴重だと感じます。  仔馬が成馬になるまでのギャップを、どう自分でイメージできるか。竹園オーナーとのお付き合いで、そうしたプロセスをたくさん見て勉強させていただいたというのが大きいです。セリや牧場でご一緒し、誕生から育成、競走馬になるまでを継続的に見せていただいた。馬それぞれの成長期や、性格の違いなども含め、現時点から将来にかけて予測する知見を養っていきました。  実は、ビッグダディオーナーズクラブの最初の共有馬・ルキアも、竹園オーナーに「一緒に選んでくれませんか?」と頼んで、牧場まで来ていただいたのです。オータムセールで売れ残った馬で、購入時は410キロ台で蹄が悪く成長が遅れてしまいましたが、3歳のデビュー時には492キロと大きく成長して、南関東で5つも勝ってくれました。  苦労しましたから、特に初勝利のときはとても嬉しかったですね…。この馬を共有いただいてから約15年、現在も続けて共有いただいている馬主さんもいらっしゃいます。そこから現在進行形で100名超、通算で言うと300名以上の方々に共有いただいております。 ――最初から、個人馬主ではなく、地方共有という形を取られたんですね。  クラブを立ち上げた2000年代というのは、まさに地方競馬が不遇の時代でした。中津、三条、益田、足利、高崎、宇都宮と相次いで廃止され、賞金もどんどん下がり、馬が売れず…という。川に生産者が浮いていたとか、牝馬は当時売ることさえ厳しい時代だったため他人の牧場に捨て犬ならぬ捨て馬が発生した、そういう話を聞く時代でした。  そうした状況を微力ながらなんとかしたいと、日高の若手牧場主数名と立ち上げたのがビッグダディオーナーズクラブ。少しでも馬が売れる機会を提供したかったのです。また“馬主を始めたい”という人に、気軽な参入の機会を提供したかったというのもありました。当時、現在ほど大手牧場経営以外は地方共有の仕組みは少なかったですから(笑)。当時は各競馬場の賞金や出走手当が安くて…。収支バランスに苦労する時代でした…。  また、コストダウンのため紙でのやり取りを極力省き、広告宣伝費はかけず、インターネットでの募集のみ。たまたまホームページを見かけてくださった奇特な方に共有いただいて、現在があります。 中央も地方も“醍醐味”は同じ。全愛馬に優勝経験をさせてあげたい ――所属馬の戦績を拝見していると、様々な選択肢から本当に工夫されているのがうかがえます。  モットーは“咲けるところで咲く”。特徴に合った競馬場、厩舎を選んで、全愛馬に優勝経験をさせてあげたいと思って運営しています。  たとえば現役馬であればナイフレストは、門別や盛岡で勝てなかったのですが、浦和に持ってきたら2連勝。ヒロシゲジャックも盛岡で2着が5回と勝ちきれなかったのが、大井に持ってきたら1着・1着・2着・2着・先日はC1の特別で3勝目を勝ち取りました。もちろん全ての馬が思い描いたように能力を開花してくれるわけではないので上手くいかない場合もあり、日々勉強。“この馬はどんな競馬で、どこで咲かせるか”というのを、我々が最大限責任を持って考えて行動することが大切です。  もちろん、馬に対する並々ならぬ思いや熱意がある厩舎に入厩させていただくことが大前提です。そうした行動の結果、愛馬が勝ったときの高揚感や楽しさというのは特別に“感慨深いもの”があります。共有いただいている馬主さんから「勝利の感激はひとしおで、一口とは違うものがある」「良い時、悪い時、色々あるが、やっと勝って良かった」などのお声をいただきます。1戦1戦、真剣に向きあう厩舎関係者や騎手の姿を目の前にして、わが身のごとく共に「頑張ろう」と気合が入る瞬間、それは馬主の醍醐味かもしれません。  一口馬主と違って、ご自身の好きな時に厩舎や牧場へ馬を見に行けたり、馬主席に入って応援できたり、勝てば記念撮影ができる――。そういった部分も、愛馬に愛着が増す要因かもしれません。東京に住んでいる方でも「笠松に応援に行きます!」と厩舎や競馬場まで行かれる方もいらっしゃいますし、単に“競馬が好き”なだけじゃない。自分自身もそうですが「生きる源泉」のひとつになっているように感じます。 1頭1頭大切に、“この仔の一番良いところを引き出してあげよう”とすること ――現在、2歳馬(新馬)を2頭募集中ですが、どちらも良さそうな馬ですね。  オーバルカット21(牡・父マジェスティックウォリアー)は、馬格があっていかにも成長力がありそうです。能力試験に合格した場合、100万円の育成費補助金が支給される特典付きですので、育成預託料や保険料を考慮すればオータムセールでの購買金額からほぼ上乗せなし。坂路15秒のところまで来ていて、育成場からは「乗り味が良く、気性も落ち着いていて好印象」と言われていますよ。  キタサンモデル21(牝・父ストロングリターン)は、オータムセールでお買い得だった馬。それでも、育成場の騎乗者からは「力があり、跳びも大きくて、気性も良く動く」と非常に高評価です。この馬も100万円の補助金の対象(※2)。馬体重も増えてきていて、良い成長曲線を描いているので楽しみです。 (※2)デビューが遅く頭数制限を超えた場合に支給されない場合がある。  補助金も共有馬主の方々に還元し、手数料も賞金の5%だけで、入会金も月会費も無し。それは、とにかく共有馬主さんに、愛馬が走る楽しみを気軽に実感してもらい、長く続けてほしいからです。現在はクラブ発足当初よりも地方競馬の環境が良くなっていますから、経済性も適えやすくなっていると思います。 ――ありがとうございます。本当に発足当初の十数年前とは環境がかなり変わってきていますよね。そうした中で最後に、ビッグダディオーナーズクラブの目指すところを教えてください。  プレイヤーも増えていて、馬の値段は高くなり、育成場や各競馬場の厩舎には馬があふれているという状況。十数年前からは隔世の感がありますが、先に触れた状況を思い返すとたくさんの方が馬主活動を楽しんでいるのはとても素晴らしい事だと思います。クラブの運営としては大変ですが、経済性と楽しみを両立しながら最大公約数的な改善をし続けたい。  共有してくださる馬主さんが「良かった」と思うことは、自分にとっても同じこと。「共有して良かった」と思ってもらうには、もちろん重賞制覇を狙っておりますが、やはり1頭1頭大切に見て、“この仔の一番良いところを引き出してあげよう”とすること。それが使命だと思いますから、常に忘れずに続けていきたいと思っています。

おはなしコラム

2023/3/25 20:00

JRA初・平成生まれ調教師がデビュー…上原佑紀調教師「馬も人もプライベートな時間を尊重」

 3月4日、中山競馬場で行われた第8R・4歳上1勝クラス(芝1600m)で、平成生まれの調教師として話題の上原佑紀師(33)が初陣を迎えた。(テールデトワール・14着)。このレースでは中団から伸びきれずと結果には結びつかなかったが、海外でも経験を積んできた若きトレーナーの挑戦には今後も注目が集まる。 テールデトワールで初陣 ●デビュー戦を終えて、今の気持ちは? 「最初からチャンスのある馬を預けていただいていたのに、結果を出せず申し訳ない気持ちです。輸送でかなり体重が減ってしまったのが想定外でした。次走に向けて工夫していきます」 ●レース前、緊張はしましたか? 「最初は緊張していましたが、騎乗命令の合図がかかるといつもどおりでした。馬もリラックスしていたし、鞍上もよく知っている石橋脩騎手なので。足上げのときはワクワクしていました」 ●平成生まれ最初の調教師、注目が集まりますが 「世界には僕より若い調教師もいますし、年齢の意識はないですね」 ●上原佑紀厩舎の特色は 「馬をリラックスさせてあげられるような厩舎作りには拘っています。メリハリを大事にしていて、アスリートである以上、調教はしっかり負荷をかけて行う分、次の日は楽にさせてあげる。例えば飼葉を上げながらブラッシングすると、馬もリラックスしきれないので、飼葉をあげているときは一頭だけの時間にしてあげる。など、馬も人もプライベートの時間を尊重しています」 ●これからどんな調教師、厩舎作りを目指していきたいか 「仕事中はもちろん集中して、オフのときはしっかり休む。スタッフにはプライベートも充実してほしいし、メリハリつけた厩舎にしていきたい。そういうところは馬も人も一緒ですね」 「ウィリアム・ハガス調教師のスタイルが刺激的だった」 ●理想の調教師像は 「研修でお世話になったウィリアム・ハガス調教師のスタイルが刺激的だった。馬に強制しているわけではなく、馬一頭一頭に合わせており、調教のときも馬が前向きに取り組んでいるようだった。日本のトレセンとは環境が違うが、自分も取り入れていきたい」 ●競馬ファンに向けて一言 「まだまだ未熟ですが、トップ目指して頑張っていきますので応援よろしくお願いいたします!」

おはなしコラム

2023/3/4 21:10

クラブ勝ち上がり率No.1!インゼルレーシング代表・松島悠衣氏に聞く“絶好調の要因”とは?

一口馬主クラブ法人・インゼルレーシング(愛馬会法人・インゼルサラブレッドクラブ)が快調な滑り出しを見せている。初年度募集馬19頭の勝ち上がり率は.421(8頭)で、社台TC(.317)、ラフィアン(.286)、サンデーTC(.267)といった名門クラブの勝ち上がり率を大きく上回る。(数値は2023年1月15日終了時) 設立1世代目から“絶好調”の要因はどこにあるのか。そして、2世代目以降への期待とは…?インゼルレーシング代表の松島悠衣氏にお話を聞いた。 「今までにないクラブのコンセプト」を掲げる ――悠衣さんご自身は、新卒で一度お父様の会社(株式会社マツシマホールディングス)に入社されて、その後早稲田大学の大学院に入り直されたそうですね。 大学を卒業して企画本部に携わり、イベントや新事業、プロジェクトの企画をしていました。昼も夜も父と話していて(松島正昭氏・株式会社キーファーズ 代表。2022年日本ダービー馬ドウデュースの馬主)、“会社のためにもっと貢献したい!”というモチベーションが強い新卒時代でしたね。 でも、自分が“すごいな”と思う方々とお会いするごとに、“このままの我流ではダメかな”、“きちんとした“仕事の型”を見つけないとな“と思い、大学院に入学し直したんです。リスキリングをしてみて、ファイナンス、リーダーシップやデータ解析など、学びもたくさんありました。また逆に、改めて実務面での父のすごさを再認識した部分もありましたね。 ――そういった中でクラブ設立のお話が持ち上がってくるわけですが、まさかご自身が代表として経営をされるとは思っていなかったのではないですか? 父は本当に巻き込むのが上手いんです(笑) 大学院に入る前に「クラブやるぞ!」と言い出したので、それを前提で学んでいた部分もあって。なので卒論も競馬がテーマでしたし、会社員時代から父がやりたいことを私が実現するというパターンが多かったんです。 信頼して丸投げしてくれるんですけど、いざとなったら助けてくれる。父がバックにいてくれて、すごく安心してできますし心強いですよね。クラブの設立に際しては、「世界のトップブリーダーとの連携」「競馬を身近なものに」「競馬界における持続可能性の追求」の3つを、クラブのコンセプトとして掲げさせていただきました。 ――そうしたコンセプトが奏功して、インゼル会員さんの約半数は「初めて一口馬主になった方」だったそうですね。 父の夢に共感してくださった方なら、きっとインゼルも応援してくれるだろう――そんな道筋が元々あったので、もちろん、まずはキーファーズとファンの皆さまの影響がとても大きいです。 日本では競馬人口が非常に多いですが、馬券を買うファンがほとんどで、“馬を持つ”体験をされている人はまだまだ少ない。インゼルとしてはその“裾野を広げる”という部分で貢献できたらという思いもありました。「Insel Fun Fund」もそうした意識で作りましたし、一定の評価をいただいて良かったなと少し安心しているところです。 「クラブ初出走・初勝利」インゼルサラブレッドクラブ、新規募集開始 初年度から“重賞出走”達成…さらなる結果を――代表・大住拓哉氏に聞く インゼルレーシングは“持ってる”かも? ――初年度募集は全頭、2年目の募集も現在のところ18頭が満口。そして初年度の現3歳世代は勝ち上がり率4割超えと絶好調です。 社台ファーム様、ノーザンファーム様、クールモア、そして三嶋牧場様をはじめとする日高の牧場の皆様と、世界トップクラスのブリーダーさんから良い馬を提供していただいています。一緒くたにしてはいけないんですが、やはりキーファーズで培ってきたネットワークが大きいですよね。結局人対人、人とのつながりで良い馬を選んでいただいて、育てていただいているのが良い馬の輩出につながっていると思います。 あとは…運(笑)クリダームが初出走初勝利を決めてくれて、これは歴代の一口馬主クラブで初のことらしいんですよね。さすがに“持ってるかも”と思っちゃいました(笑)それからアンテロースも勝って、両馬とも夏の間に重賞に挑戦してくれて、日高の牧場さんの馬で勝てたというのもとても嬉しかったです。 ――“持ってる”といえば、2023年のオープニングレース(1月5日・中山1R)でシュバルツガイストが勝利して、これも話題になりましたよね。 本当に良かったです…。セレクトセールで高額でしたし、初戦も期待していたんですがデビュー戦はああいう結果(7着)になってしまって。“どうしよう”と思ったんですけど、結果2023年初めての勝利を武豊さんに決めていただきとてもホッとしましたし、かなり嬉しかったです。 ――そうなってくると、2世代目の現2歳も期待してしまいます。まずは出資可能な馬からお伺いできれば。 ノーザンファームの方も「この仔は走る」と自信を持っていたのはローリーポーリーの21(父:Justify)です。まだ気持ちが先行してしまう面はあるようなんですが、距離は持ちそうとのこと。見栄えが良くていい馬なので、じっくりと鍛えていただいて秋くらいにデビューできたら良いのかなと思っています。 テルアケリーの21(父:シルバーステート)は、顔が一番かわいいです(笑)でも、とても背中の感触も良い馬とのことで、セレクトセールが終わったときにノーザンファームさんからも「良い馬買われましたよ」と。友道先生もかなり気に入っていただいているようなので、非常に期待しています。 ――その他の馬は既に満口ですが、現時点で目立つ馬など教えていただけたらと思います。 社台ファームではサラフィナ21(父:ブリックスアンドモルタル)が良いようですね。スタッフの方も「1歳になって柔らかい良い動きをするようになった」と期待は大きいです。あとは募集時に1番人気だったムーンライトベイ21(父:キズナ)。心身ともに順調に成長していて、天羽牧場さんも「今までの産駒の中で1番かもしれない」と仰っていました。 デビューが早そうなのはヤンキーブライト21(父:Practical Joke)。スピード感があって騎乗者さんもかなり褒めていらっしゃって、森先生も早めに入厩させたいと仰っていたそう。あと、クリダームと同じ陣営のアルーリングハート21(父:ブリックスアンドモルタル)。この馬もかわいいんです(笑)。だいぶ心身が大人になってきていますし、須貝先生も早めのデビューを見据えていらっしゃるようです。 つながりをより一層大切に、新たなチャレンジも ――ありがとうございます。あとは、クラブ設立時のコンセプトに掲げられていた「持続可能性の追求」ということで引退馬支援も始められたそうですね。 まずはインゼルレーシングで馬運車を作りまして、マツシマの草津の拠点に置いているんですが、必要な際にTCC(Throughbred Community Club)に無償で貸し出しています。引退馬支援に取り組まれている角居先生(元調教師)にも何度もお会いしてお話させていただいているんですが、競馬業界の世界の潮流でもあるので、クラブとしてもしっかり取り組んで広げていきたいと思っています。 ※TCC(Throughbred Community Club)とは 引退馬ファンクラブであり、終生飼養を前提として、引退競走馬を[①救い②活かし③支える]をテーマに活動している団体。 ――今までの一口馬主クラブにはないコンセプトで、新たな風が吹いているような感じがしますね。 インゼルレーシングに関わらず、事業は「やっぱり人やな」と。競馬であれば会員様をはじめ、牧場の皆様、厩舎の皆様、騎手の皆様、スタッフのみんな。1月には京都にマツシマホールディングスの新しいレストラン(bistro plus・ビストロ プリュス)をオープンするんですが、それもたくさんの人に支えられて「みんなで作っている」という意識が強いです。 名前の”plus”もフランス語で“プラスする”という意味があり。多様な国のエッセンスや食材の力、そして様々な人の力をプラスして、皆様に愛され続ける店として成長していきたいという想いが込められています。そしてこれはたまたまですが、キーファーズにもプリュスという馬がいましたし(笑)本当に、人と人とのつながりをより一層大切にしていきたいなと思っていますね。 (*2022年セレクトセール当歳セッションで、プリュスの初仔(父キタサンブラック)を、インゼルレーシングが落札している) ――クラブの運営も3年目を迎えます。コロナ禍も収束に向かい転機になりそうな年ですが、展望をお聞かせください。 口取りも解禁されて、ラヴェリテ、シュバルツガイスト、シュニーとクラブとしても会員様との口取りを3度も経験できました。本当に会員様あってのクラブなので、可能性があれば海外へのチャレンジも見据えつつ、サービスの提供や勝てるレースマネジメントをしっかり行っていきたいですね。 本当に、今までは上手くいきすぎて怖いくらいなんですけど、このままの勢いで初年度の募集馬、2年目の募集馬と1頭でも多く、できればみんな勝ち上がってくれたらと思っています。3年目も会員様の選択肢を増やせるように、バラエティに富んだラインナップをご用意できると思いますので、これからも期待していただけたら嬉しいです。

おはなしコラム

2023/1/20 18:00

凱旋門賞ドウデュース・武豊の足元を支えた「鐙(アブミ)」Made in Japanで“世界の頂”へ…町工場の挑戦秘話

「去年の凱旋門賞でも使ったんだけど、自分が使っていて足が痛くない、踏みやすい、ステップの幅の広さもちょうど良い感じで作ってもらった。ストレスはないし、安全性も間違いないから、世界に広まったらいいなと思っている。みんな興味を持ってくれているよ」 パリロンシャン競馬場。ドウデュースで凱旋門賞に挑戦する前、武豊騎手がもうひとつの“挑戦”について話してくれた。それは、競馬で騎手の足元を支える「鐙(アブミ)」の話である。時速60キロ前後で走る競走馬にまたがる騎手は、鞍の左右についているアブミで身体を支えている。 「今までは外国製しかないので、出されたものの中から選んでいた。今回は自分の好きな形で作ってもらったので、それは大きい」 そう話す武騎手だが、長らくトップを走り続けているレジェンドジョッキーをして、アブミの選択肢が少なくストレスを感じながら使っていたというのは驚きだった。いったいどのような経緯があったのか、アブミを開発した愛知県の町工場・エムエス製作所の代表取締役を務める迫田邦裕さんにお話を伺うことができた。 ――まずは、凱旋門賞の渡仏お疲れ様でした。武騎手が御社のアブミでこのレースに挑戦したのは 2 度目とのことですが、迫田さんが目の当たりにされたのは初めてだそうで、率直なご感想を教えてください。 迫田 シンプルにまだ“現実味がない”というのが正直なところで、ウソのようなことが目の前で起きているな…と。武さんとアブミの開発を始めてちょうど 3 年ほどになるんですが、本当かなぁ、現実なのかなとまだ夢のような感じです。 昨年にも武さんには凱旋門賞(ブルーム騎乗)でアブミを使っていただくということで、“観に行きたいな”と思っていましたが、コロナ禍でなかなかフランスに行ける環境ではなくて…。でも今年は、画面越しで観るのと自分の目で観るのとでは感じ方が違いました。本当に不思議なご縁だなと思います。 ――2019年の秋に、ゴルフクラブのアンバサダーとして御社の工場を訪れた際に、武騎手が「アブミを作れないか?」と閃いたとか…。そうしたオファーが来たとき、どう思われたんですか? 迫田 まず申し訳ないと思うんですが、武さんと知り合うまで競馬の知識はまったくなかったんですよね。もちろん“武豊騎手”という存在自体は知っていたのですが、それ以外のジョッキー、ジョッキーが使うものは何か、どんな馬がいるのか、など全く知らなかった。スタッフにもその頃は競馬好きのメンバーがおらず、「アブミ…って何?」と、青天の霹靂といった感じでした。 ただ、実は僕らが「何も知らなかったこと」。これが今回一番良かったことだと、今になって言えます。自分たちが普段使うものだと、どうしても先入観や作り手のエゴが入りやすいんですよね。でもアブミに関しては「まっさらな状態」でした。アブミへの足のかけ方も知らない、体重の乗せ方も知らない――そこから、武さんが仰ったニーズを素直にひとつずつ形にできた。これが一番大きかったかもしれないです。 【凱旋門賞】武豊「自分から走る感じではなかった」ドウデュースはまさかの19着大敗 オーダーメイドだと思っていたので驚いた ――そもそも、武騎手ほどの長くトップを張っている“レジェンドジョッキー”と呼ばれる方から、「アブミをゼロから作りたい」というオーダーがあるなんて、びっくりですよね。武騎手レベルでも、外国製のアブミをいくつか出してもらって、そこから選んで使っているような状況だったとか…。 迫田 私も、既にオーダーメイドで作られているのかなと思っていたので、正直びっくりしました。推測ですが、いままでの日本のものづくりは“大量生産・大量消費”だったので、武さんのような方が声を上げても難しかったのかもしれません。でも今は“多様性・小ロット・多品種”に変わってきているので、ちょうど時代の流れにフィットして今回のようなニーズにも対応できるようになってきています。 そして、実際に工場に来ていただいて、目の前で機械が鉄を削っているところをご覧になった。おそらくそこで「ここならアブミについて聞いても、何かしらレスポンスがあるかも」と思っていただけたこと。現場を見ていただけたことが一番大きいかもしれないですね。“武豊騎手”が“町工場にいる”イメージがまずないですから(笑) ――本当にそうですね(笑)ただ、アブミという作ったことのないものをゼロから作るというのは、御社にとってもチャレンジだったんじゃないかと思います。 迫田 そのとおりです。ただその前に、私たちのような小さな町工場で作っているゴルフクラブのアンバサダーになっていただいて、武さんに感謝、恩返しがしたいなと思っていたんです。大企業のようなことはできないので、ものづくりで何かできないか…と思っていたところのオファー。感謝の思いをなんとかものづくりでお返ししようという思いでしたね。 あと、一番嬉しかったのは、武さんご自身が「“日本のものづくり”がもっと競馬界に無いとおかしい」「日本製のアブミがないのはおかしいやろ?」としきりに言ってくださったこと。これが私の中に一番響きました。“いま売られている中に、日本製のアブミがない”というのが一番大きかったので、その時点で“武さんだけのスペシャルモデルではなく、日本製のアブミをもっと普及させたいんだ”という思いに共感できました。 ――そこから、いざニーズを聞いて、開発に入るわけですが…。従来御社で作っていた製品と、アブミを作ることを比較すると、難しさはありましたか? 迫田 アブミというのは、バランスが難しいんです。形状と重さが完全にリンクしているので、どこかを動かせばどこかが変わってしまう。そのバランスを取りながら、心地よさ・軽さ・安全性をすべて成立させる…これが非常に難しい。試作はかなり作りましたね。武さんに見せていないものも含めると20くらい。 金属系のものづくりは、想定した設計図が実際に金属にできるのか?という課題があるんです。果たして製造工程に乗るのか、設計図どおりの金属の形になるのか。そういった部分にもトライアンドエラーがありましたね。本当に微妙な調整が必要なので。 競馬界みんなのためのものづくり ――武騎手からのオーダーは、“乗っていて痛みがあった”というアーチの部分と、踏みしろの部分を主に改良してほしいとのことでした。実際にいちばん最初に武騎手が跨ったのが2019年のチャンピオンズカップ当日で、その感想がすごく良いものだったそうですね。 迫田 中京競馬場の検量室の木馬がある部屋で、初めて試してもらいました。やはり最初に跨ってもらうまでは「ダメだったらどうしよう…」という不安のほうが大きくて、なので武さんから「すっごくイイ。踏んだ感じで違う」と言われたときは気の抜けるような、純粋にホッとしたという気持ちが一番正直な、技術者含めて皆の気持ちでした。 そこから一番難しかったのは“重量”です。形状はできあがった。いざ製品化へ、というときに躓いたのがそこでしたね。ステンレス製のモデルが約10g、重く出来上がってしまった。武さんにとって良い形、乗り心地の良いフィット感のあるアブミの形はでき、耐久試験もクリアした。でも、そこから求められる重量に合わせるというのが一番難易度の高かったことです。 ただ、武さんの求めるニーズは「競馬界みんなのためのものづくり」なので、武さんは体重調整に苦労しなくても、そうでない人もいる。形状も、騎手になる人は武さんの乗り方をお手本にして乗る人が多いから、それにフィットするアブミを作れば多くの人がストレスを感じなくなるかもしれない、と。ご自身のことだけじゃなく、そこまで広く考えて仰られているニーズですから、応えないわけにはいかないですよね。 ――それで、武騎手モデルのアブミはステンレス製と、軽量のアルミ製の2種類になりました。途中、コロナ禍もあってリモートで開発会議を行ったりされたとも聞いていますが、2020年6月の函館開催からついに実戦投入され、いきなり函館スプリントS(ダイアトニック)で重賞勝利したそうですね。 迫田 作り手としては嬉しい反面、“何か不測の事態があったら怖い”というのは常にあり続けるので不安な気持ちと、半々でしたね。もちろん耐久試験などを繰り返して机上では大丈夫なんですが、馬の行動、競馬の速度など、試験では試せない事態があったら…という不安は1年くらい続きました。もし不満足な部分や、結果が出なければ、元のアブミに戻されるんだろうなと思っていたので。 なので、今まで使い続けていただけているというのは、良いものだと認めてくださっているのかなとポジティブに捉えています。それが一番嬉しいことですし、凱旋門賞のような大きな期待のかかったレースでも私たちのアブミを使い続けていただけているというのは、何よりの喜びです。そうした良いものができたというのは、武さんが本当に色々なニーズを教えてくださったというのが有難かった。 “ニーズはこれだから、あとはやっておいて”というものづくりだったら、絶対にうまくいかなかったと思います。木馬で一から騎手の乗り方を教えてくださったり、工場に足を運んでくださったり、コロナ禍でもリモートで足の裏の写真を撮らせていただいたり(笑)ジョッキー以外の人が想像しきれない世界なので、第一人者である武さんが拾い上げたニーズを、私たちが形にしていく…という役割分担が本当にうまくいった結果かなと思っています。 ――そうした開発過程を見て、川田将雅騎手も「自分のアブミを作りたい」と仰ったそうですね。実際に武騎手モデルを使用されて、2021年春のG1(高松宮記念・ダノンスマッシュ、大阪杯・レイパパレ)を連勝したとか。 迫田 川田さんの場合は、武騎手モデルがあったので、それをベースに開発を進めました。武さんとは乗り方やフォームが違うので、例えば体重を前にかける(武騎手)のか、カカトを落として乗る(川田騎手)のかで、こんなにニーズが違うものなんだと。ブーツの底とアブミの関係性を重視されていて、とにかく滑らないようにという部分を気にされていましたね。2021年の夏競馬からご自身のモデルを使用されて、今回の凱旋門賞(ディープボンド)でも使っていただいたようです。 あとは、ソダシがG1を勝ったときに吉田隼人騎手が使用されていて、「あれ…これウチのアブミ?」と驚きました。私たちは作り手・製造元で、販売は武さんが立ち上げられたメーカーという形で製販分離しているので、テレビで観て「このジョッキーも使ってくださってる」ということは多いです。パドックもアブミばかり見ていて、「これウチのじゃない?」とスタッフと盛り上がるという週末がここ2年くらい続いていますね。息子も「今日は武さんのレースある?」なんて聞いてきたり、生活も変わりました(笑) ――さらに海外にも、武騎手モデルのアブミは広がっているそうですね。アメリカでウッドワードS(G1・オルティスJr騎手)を勝っていたり、カナダで福元騎手が使っていたりと、確実に“Made in Japan”が広がっているようです。これも“良いモノがつくれたからこそ”ではないですか? 迫田 本当に作り手としては嬉しいことなんですが、気づけば驚くようなことがどんどん起きているなというのが率直な感想です。武さんに感謝ですね。現場の騎手に求められているニーズが全部汲み取られたアブミが出来上がったからこそ、たくさんの方に使っていただけているんだなと思います。 日々ものづくりをやっていますが、“本当にお客様のニーズに寄り添えているんだろうか”“作り手のエゴの入った商品を納品していないだろうか”――そんなことを考えるきっかけを武さんにいただいたような気がします。出来上がったアブミだけじゃなくて、日々のものづくりのスタイルにも良い影響を与えていただけたということで、繰り返しですが本当に武さんに感謝ですね。 様々なニーズに応えるべく開発中 ――武騎手モデルのアブミは、さらに調教用、乗馬用と開発が続いていくそうですね。 迫田 まさにいま、調教用のアブミを開発しようと、いま第一試作のところですね。武さんと相談して、これから変えていかなければならないので、“いつ出来上がる”とは明言できないのですが。「重いほうが良い」「アブミが暴れないようにしてほしい」とか、求められるニーズも騎手用とは全く違います。 馬に乗り慣れていない初心者の方でも危なくないように、アブミから足が(落馬などの際に備えて)抜けやすくしてほしいとか、北海道だと寒冷地なので金属だと冷たいかもしれないとか、いろいろなニーズを踏まえて開発していますね。一般の方の乗馬用は、その後の開発になると思います。 ――ありがとうございます。今回お話を伺って、ファンとしてはますます“日本製のアブミで武騎手が凱旋門賞を勝つところを見てみたいな”という気持ちになりました。改めて今回の挑戦を振り返っていただき、アブミやものづくりについての将来の展望など、お聞かせください。 迫田 今回ご縁があって、武さんに馬の世界とつないでいただきました。今回のアブミについてもそうですが、武さんが日本の競馬界を前に前に引っ張ってくださっているなと改めて感じました。微力ながら応援者の一人として、私たちが貢献できることはものづくりしかないので、少しでも応援ができたらというのが思いですし、これからもやっていきたいことです。 “日本のものづくりが元気であることは大事”だと、5年前に私自身が製造業に入って思ったんです。日本はいま、自信やプライドを失いつつあるような世相になってしまっていますが、今回の凱旋門賞も含め“まだまだ世界で自分たちのものづくりはやれるんだ”という気概を持たせてくれるアブミの開発でした。 結果自体は残念でしたが、武さんや松島オーナーの“凱旋門賞の夢を持ち続けます”...

おはなしコラム

2022/12/29 19:00

「クラブ初出走・初勝利」インゼルサラブレッドクラブ、新規募集開始 初年度から“重賞出走”達成…さらなる結果を――代表・大住拓哉氏に聞く

2022年6月12日、函館競馬場に初めてお目見えしたのが「白,鼠元禄」の勝負服。レジェンドジョッキー武豊騎手がまとい、先頭でゴールを駆け抜ける――紛れもなく、インゼルサラブレッドクラブ初年度の募集馬・クリダームが、「クラブ初出走・初勝利」を決めた瞬間だった。 それから4か月弱、クリダームを含む4頭が勝ち上がり、2頭が重賞出走と、すでに大きな存在感を示している。初年度募集馬の展望、そして新規募集が始まる今年度募集馬への期待はいかほどか…代表の大住拓哉氏に聞いた。 ――まずは、クリダームの初出走・初勝利おめでとうございました。前回のインタビューでも早くから期待されていると伺っていましたが、初戦からやってくれましたね。 大住:ありがとうございます。クラブ初出走ということで、私も函館競馬場に臨場していました。上々のスタートから押し切ってくれて、勝った瞬間は本当にうれしかったですね。出資・応援していただいている会員様に向けても「おめでとうございます」という気持ちでした。 早くから、函館のこのレースを目指すと須貝先生からお伺いしていました。順調に来ているという話でしたが、ここまで上手く事が運ぶとは…想像していませんでした。聞いた話では、クラブとしては初出走初勝利というのは初めてということで、本当に会員様をはじめ、先生、厩舎、ジョッキー、牧場の方、すべての方々に感謝ですね。 ――その後、函館2歳ステークスでは惜しくも2着。また北海道シリーズではアンテロースも初勝利から重賞挑戦まで、非常に頑張っている印象でした。 大住:函館2歳ステークスは勝ったと思いましたが…(笑)4コーナーを回って突き放したので「行ける!」と思ったらゴール前で差されてしまって。でもすごく頑張ってくれましたし、いつか重賞を獲りたいという気持ちを新たにしました。 アンテロースも新馬、未勝利、OP、重賞とすでに4走もして、1つ勝ってくれて、会員様もとても楽しい夏になったんじゃないかと思います。厩舎の期待も大きな馬ですし、また休養を挟んで頑張ってくれると思いますよ。 【新馬/中山6R】横山武「基礎能力だけで勝った」ネビュルーズがデビューV ネビュルーズが大物感ある勝ちっぷり ――それから秋競馬に入って、中山でネビュルーズが良い勝ち方をしましたね。 大住:芝2000mで、ぐんぐん加速していって3馬身差。非常に良い勝ちっぷりでしたよね。あの馬場で最後加速して突き放しましたから。ノーザンファームの提供馬で当初から非常に期待していた馬ですので、結果を出してくれたというのはクラブとしても有難いです。 本当に募集の際に人気のある馬だったので、会員様に対しても恩返しが少しできたかなと思います。今後は同じ距離の葉牡丹賞を目指すということで、そこで結果が出せればクラシックの王道路線を歩むということになろうかなと。非常に楽しみですね。 ――これから勝ち上がりを目指す馬や、未デビューの馬もいるとは思いますが、初年度募集馬のこれまでの奮闘ぶりをどう見ていますか? 大住:勝ち上がりもそうですが、9月末現在で10頭と募集馬の半数がデビューできているのも良かった点です。やはり早い時期から会員様に競馬場で走る馬たちを観ていただけるというのは目指していた点ですし、関係する皆様のおかげだと思っています。 まだ勝ち上がっていない馬も、秋以降にデビューする馬も、期待の大きな馬たちばかりですから、引き続き良い結果を望んでいますし、そうなるように努力していきたいです。 ――さて、ここからは今年度の募集について話題を移したいと思います。大きく変わった点として、インゼル・ファン・ファンド(IFF)が全頭パッケージになっていますね。 大住:初年度は500口募集の15頭のパッケージ商品として、我々のクラブが初めて導入したのがIFFという商品でした。ただ会員様から、50口募集の高額馬に出資したいが、なかなか手が出ない…という声をいただきまして、ならば50口募集をやめて、今年度はIFFに出資すれば全頭応援できるというようにしようと。 SNSの書き込みを拝見しても、出資馬でなくともインゼルの馬が勝つと喜んでくれている、応援してくださる方々がたくさんいらっしゃるなと感じていますし、そうした期待にしっかりと応えられるようにクラブを運営していかないとと思っています。皆様のお声を反映したひとつの形として、今年度はIFFが全頭パッケージとなりました。 ――10月8日からは、いよいよ優勝記念撮影(口取り式)が再開されると発表がありました。会員様からの期待もますます高まるのではと思いますが、今年度の募集に向けて一言お願いします。 大住:まずは、会員様に口取りをしてもらうというのが一番喜んでもらえると思うので、まだそれができていないというのが寂しい気持ちでした。わざわざ競馬場まで来ていただいて応援してもらって、勝ったら口取りで記念撮影というのがとても嬉しい体験だと思いますからね。制限はありますが、それが再開になったと聞いて非常に嬉しく思っています。 元々インゼルサラブレッドクラブとしては、「より多くの方に競馬の魅力や楽しみ方を知っていただきたい」といったコンセプトで、IFFなど低価格からでも楽しめる商品を用意してきました。 今年度は2年目の募集になりますが、現時点での初年度の成績を見ていただき会員様や競馬ファンの方々からも高評価をいただいていると自負しています。今後この評価が落ちないように、そしていつか、会員様と重賞のウイナーズサークルで口取りができる日が来るように、引き続き努力していきたいと思いますので、応援のほどよろしくお願いいたします。

おはなしコラム

2022/10/8 21:10

【凱旋門賞】勝つために日本勢に必要なものは何か…

 10月2日(日)に、パリロンシャン競馬場で行われた第101回凱旋門賞(G1・芝2400m)に、過去最多となる4頭の日本馬が出走するも、最先着はタイトルホルダーの11着と、今年も非常に厳しい現実が待ち受けていた。毎年必ずと言っていいくらい敗因に上がってくる馬場適性の差。レース直前の大雨もあり、今年も結果的にその馬場適性に泣いた格好となった可能性は高い。  昨年は日本の重馬場で圧倒的な結果を残していたクロノジェネシスが7着に敗退。今年は長距離の菊花賞、天皇賞・春を勝ち、重馬場適性が高いと思われたタイトルホルダーに、もしやの期待が寄せられたが(日本のオッズでは1番人気)それでもこの舞台では歯が立たなかった。  手綱を取った横山和生騎手は『直線向いてもしかしたら…』と手応えに期待を抱いたとは言いつつも『日本ではこんな馬場になることはないですし、外国馬は走り慣れていると思いました』と、経験値の違いを感じ取っていたようだ。  レース前には不幸にもスコールかとも思わせる激しい雨に見舞われ、厳しい結果を早くも予感させるものはあった。ディープボンド(18着)に騎乗した川田将雅騎手は『進んでいくのも難しいくらいの馬場状態』と表現し、ドウデュース(19着)に騎乗した武豊騎手は『勝ち馬はこの中で勝っているわけだから、(馬場は)言い訳にはならない』と強調した。しかし、ドウデュースはフォルスストレートから早々と下がっていき、更に武騎手は、馬の状態の良さは感じ取りつつも『自分から走る感じじゃなかった』とレースを振り返っている。  ドバイや香港ではきっちり結果を残している日本勢なだけに、競走馬としての能力が世界レベルであることは言うまでもない。晴れていようが、雨が降ろうが、ロンシャンの特殊な馬場に適性があるかどうかは、各陣営100も承知でのこと。『馬場を理由には出来ない』と関係者は口を揃えて語るものの、それを克服するために避けて通れない難題であることもまた事実。パリロンシャン競馬場の芝生を管理するシャルル・ド・コルドン氏によると『ロンシャンは重めのまとわりつくような芝が特徴。フランスの中でも芝の育成が1番難しいコース。コース全体の中でも雨の降り方が違う』と難解な特徴を語る。  そして、今回の凱旋門賞で、日本馬4陣営の中でも、印象的なトライだと感じたのはステイフーリッシュの矢作芳人厩舎。意外にも厩舎として凱旋門賞は初出走とのことだが、ステップレースから他陣営とは全く違うレースをチョイス。当該週の囲み取材では、約2ヶ月ほどの長期滞在や、ドーヴィル大賞を使ったローテについて『日本の時よりは走りが変わってきたのかなという印象があります。(前哨戦については)60キロの斤量を背負えたのは良かった。ニエル賞、フォワ賞よりは間隔を取れたので、そういう意味ではいい前哨戦だったと思います』と岡助手。背負い慣れてない斤量を経験させ、ある程度の間隔を取った方が良いのではないかという意図を明かした。  本番では試練の大外枠に加え、雨の影響をモロに受けた形で、中々前へ推進して行くような走りは出来ず、中団からそのまま下がってしまい14着に敗れたものの、割とスタンダードなフォワ賞、ニエル賞の中2週、またはぶっつけ本番というローテを採用せず、中1ヶ月の調整で元気いっぱい、何かを期待させるものがあったのは確かだ。  さらに矢作師は凱旋門賞レース後『四輪駆動の馬、力があって、スピードがあって、そういう馬を連れてくるようにこれから努力するだけです』と、この結果を受けて冷静に分析した。また、タイトルホルダーを管理する栗田徹師も『相当別のタイプの馬を連れてくるか、本当に条件の違う馬を連れてくるかしないとちょっとしんどいんじゃないかなと思います』と総括していた。『四輪駆動の馬』という独特の表現で栗田徹師と同様、タイプの違う馬を連れてくる必要性を語っている。  30日のサンクルー競馬場で日本でお馴染み、凱旋門賞4勝しているオリビエ・ペリエ騎手に話しを聞くことが出来た。日本馬が凱旋門賞を勝てない要因は?の問いに『逆のことも言えて、フランス馬も日本でしばらく勝っていない。日本の重馬場とこちらの重馬場は随分違う』と、要因の一つに馬場があると見解を示した。  凱旋門賞はまだ日本馬が勝ったことのないレースであり、今のところ正解は誰にもわからない。競馬である以上、当然要因は馬場だけではなく、血統、斤量、馬場、ローテ、枠順、展開と要素をあげればキリがないが、色んな形でどんどんトライしていけば、勝利に近づく日もきっと遠くはないはずである。また来年、日本勢の活躍に期待したいと思う。

おはなしコラム

2022/10/5 18:00

インゼルサラブレッドクラブが“エネイブルの甥”再募集馬発表!初年度の手ごたえ、そして将来の展望は?――代表・大住拓哉氏に聞く

2021年9月、彗星のごとく設立された「インゼルサラブレッドクラブ」。“武豊騎手で凱旋門賞制覇”という夢を掲げる馬主・キーファーズからのサポートを受けるとあって、1/500口募集馬は15頭すべてが満口と、多くの競馬ファンからの支持を受けている。 1/50口募集であれば、国枝厩舎予定のフリーティングスピリット20(父・キタサンブラック)、池江厩舎予定のブラッサムドの20(父・Justify)にまだ残口がある。さらに3月18日には、“エネイブルの甥”にあたるコンシダレイトの20(父・Nathaniel)の再募集(500口)が発表された。 募集から約半年を経て、各馬の育成状況や期待度はどうか。また、クラブはどこを目指していくのか。同クラブの大住代表と、湯日氏に、その展望をお伺いした。 ――まずは、初年度の先行募集を終えての率直なご感想をお聞かせください。 大住:万全の準備をして初年度の募集に臨んだというのもありましたが、反響に関しては予想以上でした。ありがたいことです。要因としては、もちろん日本を代表する生産牧場である社台ファーム、ノーザンファームから大きなご協力を得られ、話題性があったというのもありました。 加えて、クラブ設立に支援いただいているキーファーズのファンの方が「こんなにもおられるのか」と驚いたのは正直な感想ですね。 ――確かにSNSでは、一口馬主経験者のみならず、多くの方が検討していた印象があります。 大住:我々の特長のひとつとして、IFF(Insel Fun Fund 2021)というオリジナル商品があります。1/500口募集対象の15頭をワンパッケージに、募集価格の10%を2,500口で割ったファンドなので、1口18,440円というリーズナブルな出資金額に抑えることができました。 過去、調べる限り他のクラブさんでもこうした取り組みはなく、主に一口馬主初心者の方々から多くの好意的なお声をいただいたのも、嬉しい限りでしたね。 ――インゼルさんの勝負服をまとめて応援するんだ、と思ってもらえれば分かりやすいですもんね。 大住:15頭もいれば“毎週どこかの競馬場で出資馬を応援できる”といった体験もできるかもしれません。そうした「応援する喜び」をたくさんの方々に体験いただけたら、さらに新しい楽しみ方を知っていただけて、競馬の裾野も拡がっていくのではないかなと。 キーファーズや、主戦の武豊騎手の応援団がたくさんいるように、インゼルサラブレッドクラブを応援していただくきっかけになるのではと期待しています。そして、この流れを失わずにこうした商品をこれからも開発していきたいですね。 ――それにしても、先行募集ではほとんどの馬が募集口数を上回る応募があり「抽選」となったのにはびっくりしました。 大住:日本で突出した成績を残している社台ファーム、ノーザンファームをはじめ、有力な各牧場と良好な協力関係を築けたというのが、まずは大きいです。 さらに、キーファーズの協力もあり、ディープインパクト産駒であるSaxon Warrior産駒、日本でも活躍馬を多数輩出しているFrankel産駒と、クールモアスタッド (Coolmore Stud)など海外の牧場からも募集馬を提供いただけたことで、他クラブさんに劣らないような魅力的なラインナップを揃えられたからだと思います。 ――世界的な生産者であるクールモアの馬に、日本で出資できるのは魅力的ですね。 大住:実際にそういったお声もいただいていて、非常に励みになります。我々はバイヤー系のクラブですので、海外の牧場も含めて幅広い協力関係を築いていきたい。 そうした意味では、厩舎も有力な調教師さんに預託させていただけている点も追い風だと思います。将来的に、3-4年後には募集頭数も増えていくということになるかと思いますので、しっかりと初年度から結果を出して、毎年魅力的な募集馬をご提供できればと考えています。 ――ここ数年、競馬は非常に盛り上がっていますし、結果が出ればますます注目されそうです。 大住:競走馬の市場も活況ですし、馬券も売れている。「ウマ娘」のような、競馬の裾野を広げる大きなインパクトのあるコンテンツも出た。そういったタイミングでクラブを設立できたというのは、ある意味本当にラッキーでした。 「新たな一口馬主クラブを立ち上げる」となったときにJRAから期待されたのも、まさにこれまで競馬に興味のなかった方へ、その魅力を伝えてほしい、ということ。そうした意味では、前出のIFFがこれだけ支持をいただいたというのは、とても自信になりました。 2年目、3年目と我々の特長をさらに出して、さらに競馬界に貢献していきたい。さらに将来的には、アメリカやヨーロッパでも活躍できるような馬を輩出したい。そういう結果を出せるように、我々も努力して牧場や調教師の先生方としっかり連携を取って、初年度からしっかりと対応していければと思います。 ――ありがとうございます。ここからは、湯日さんに初年度の募集馬についてお伺いさせてください。3月時点で、もう既にトレセン近郊牧場まで移動している馬がいると聞きました。 湯日:ブーケトウショウの20(父・ハーツクライ、馬名・クリダーム)ですね。1歳時からトモがしっかりした馬で、これは父よりも母の父・サクラバクシンオーが出てくるなというのが第一印象でした。自分自身としてもバクシンオーがかなり好きなので(笑)そういうひいき目で見たのかもしれませんが。 その時点で、預託をお願いした須貝先生とも「これはかなりスピードがある馬だし、早めに入厩させて夏デビューさせられるんじゃないか」と話していたくらいです。そこから全くアクシデントなく進んで、2月に北海道から吉澤ステーブルWESTに移動させてもらいました。 ――2月の移動というのは、本当に早いですよね。さらに、他の馬も目立ったアクシデントなく、本当に順調だなという印象を受けます。 湯日:各生産牧場の努力、というのが非常に大きいと思います。社台ファーム、ノーザンファームはもちろんのこと、日高の牧場も土壌・草の改良から、繫殖の質の向上まで、本当に一生懸命やっておられる。結果、本当に良い馬ばかりをご提供いただけた、ということなのかなと。 クリダームにしても、真面目で余計なこともしない理想的なサラブレッド。生産(杵臼牧場)、育成(吉澤ステーブル)ときっちり対応していただけた結果だと思います。須貝先生とは「馬房の都合がつき次第、ゲート試験まで進めてみようか」とも話しています。 ――そうした順調な中で、まだ出資可能な馬がいますね。まずはフリーティングスピリットの20(父・キタサンブラック、馬名・シュバルツガイスト)について教えてください。 湯日: 2020年の当歳セレクトセール購買馬(1億2,100万円・税込)なんですが、とにかく当歳のころから雰囲気が良く、ノーザンファームでも「素晴らしい馬だ」との評価を下しておられました。 それから1歳、2歳と成長してきても、本当に馬体のバランスが崩れていない。良い形のまま筋肉質に成長してきているなと思います。現在は週2日が2,700mの普通キャンター、残りの日は周回コースから屋内坂路コースで1本をハロン15~17秒のキャンターを消化しています。 騎乗スタッフに聞くと、とにかく常に前向きさがあって、ある程度の時計で走ってもフォームに乱れがないということです。やればいくらでも動きそうなので、やりすぎないように注意しているほど。まだまだ走りに余裕がありそうです。馬体重も476kgと、理想的なサイズではないかなと。 ――預託予定の国枝先生も、初年度産駒から活躍馬が出ていますし、期待されているのではないでしょうか? 湯日:先生も「父は長距離のイメージがあるが、この馬はマイルくらいから十分やれるんじゃないか」と仰っていました。母が欧州のチャンピオンスプリンターですからね。一口は250万円と高額ではありますが、もう半数以上売れていますし、正直かなり期待しています。 キタサンブラック産駒も、最初は「どうなのかな」と思っていましたが、初年度から重賞勝ち馬(イクイノックス)が出ましたからね。能力があるなと思いましたし、今後間違いなく期待したくなる種牡馬の1頭だと感じています。 ――もう1頭、残口があるのはブラッサムドの20(父・Justify、馬名・オーサムリザルト)ですね。 湯日:実は2週間ほど前に、預託予定の池江泰寿先生の感想を伺いました。「当初見たときと変わらず、牝馬ですが馬体にボリュームがあって良い雰囲気の馬ですよね」と。距離も短いところではなく「中距離くらいから使いたい」、という見立てのようですね。 現在は三嶋牧場在厩で、現在はBTC(軽種馬育成調教センター)で屋内周回コースを4周、そして週1回屋内坂路コース2本をラスト1F17~15秒で順調に乗られています。焦って使う馬でもないですが、順調に乗っているので4月あたりにトレセン近郊に連れて行こうかという話をしました。 ――父Justifyの初年度産駒です。市場では世界中で注目を集めていましたよね。 湯日:アメリカの三冠馬ですからね。父のレース振りを見ていても「すごい」の一言。そうした優秀な遺伝子を受け継いでいるので、楽しみなんじゃないかなと。こちらも一口160万円と高額なのですが、すでに半数以上は売れていて、魅力ある一頭です。芝・ダート問わず活躍してくれないか…と期待しています。 ――さらに、先行募集時に募集取り止めとなったコンシダレイトの20(父・Nathaniel)が再募集されると3月18日に発表がありました。現在の状況を教えてください。 湯日:当初カタログにも掲載していたのですが、10月に疝痛を発症し開腹手術を行ったため、募集を停止させていただきました。術後は順調で、11月に曳き運動、1月末に騎乗調教が再開でき、BTCの周回コースで軽いキャンターを乗りこまれています。脚元は元々問題なく、今後順調であれば近日中には坂路コースでの調教も開始できることから、再募集ということになりました。 実は当初は1/50口募集で、ほぼ満口に近いご応募をいただいていたんです。こうした経緯となりましたが、馬自体は本当に良いので「よりたくさんの方に機会をご提供できれば」ということで、募集総額を5,000万から4,000万に下げ、口数も1/500募集(一口8万円)ということになりました。(3月25日17時より先着順)...

おはなしコラム

2022/3/25 06:10